涸沼

曖昧さ回避 この項目では、那珂川水系の涸沼(ひぬま)について説明しています。奥日光の涸沼(かれぬま)については「奥日光」をご覧ください。
涸沼
涸沼
涸沼の空中写真
2012年10月撮影の35枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成 地図
所在地 日本の旗 日本 茨城県
涸沼の位置(茨城県内)
涸沼
涸沼の位置
茨城県の地図を表示
涸沼の位置(関東地方内)
涸沼
涸沼 (関東地方)
関東地方の地図を表示
涸沼の位置(日本内)
涸沼
涸沼 (日本)
日本の地図を表示
面積 9.30[1] km2
周囲長 22 km
最大水深 6.5 m
平均水深 2.1 m
貯水量 0.02 km3
水面の標高 0 m
成因 海跡湖
淡水・汽水 汽水
湖沼型 富栄養湖
透明度 0.7 m
プロジェクト 地形
テンプレートを表示
茨城町の広浦港より

涸沼(ひぬま)は、茨城県中部の鉾田市東茨城郡茨城町大洗町にまたがる那珂川水系の汽水湖

地理

涸沼は、東茨城台地、鹿島台地に囲まれた所に位置し、上流から笠間市を水源とする涸沼川大谷川などが流れ込む。下流側では涸沼川[2]が那珂川に合流し、そのすぐ先でと通じており、満潮時には海水が涸沼川を逆流し、淡水海水が混ざりあう汽水湖となっている。また、那珂川の氾濫時には淡水が涸沼に流れ込み、地形的に遊水池ともいえる。なお国や県では涸沼川の一部分という見解が一般的である。

流域面積:439km2、湖面積:9.30km2[1]、流域人口約161,000人。

利用

漁業

シジミの生産が盛んであり(1999年全国第4位)、涸沼沿岸では直売営業所も見られる。また、マハゼなどの魚の漁も盛んである。

農業用水

その他

涸沼北部に涸沼自然公園などの公園施設がある。また、釣りキャンプウィンドサーフィンなどのレジャーなどに利用される。

生物相

植物

涸沼では、398種の植物が確認されている。

昭和40年代までは、ヨシマコモなどの水生植物が群生していた。しかし、下記に示す湿地の干拓やコンクリート護岸工事などによって、群生地が減少、ミズアオイミズワラビタコノアシが絶滅の危機に瀕している。

鳥類

涸沼では、86種の鳥類が確認されている。

涸沼では、シジミや小魚が豊富であり、マガモスズガモを含むなどの水鳥が多くみられる[3]。また、シギチドリなどの渡り鳥湿地などによくみられる。さらに、冬場には猛禽類であるオオワシオジロワシも見られる時がある。

魚類

涸沼では、105種の魚類が確認されている。

涸沼は、全国的に珍しい汽水湖であるため、フナナマズワカサギ[3]などの淡水魚ハゼボラなどの回遊魚など多種多様な魚を見ることができる。釣魚の種類が日本でもっとも豊富な湖沼として知られる。またニシンの太平洋側の南限としても知られる。

昆虫類

涸沼では、国のレッドリストで絶滅危惧I類に指定されているヒヌマイトトンボというイトトンボの一種が確認されている。

貝類

涸沼ではヤマトシジミの全国的な産地となっている。しかし、護岸工事などで年々漁獲高が低下している。

河川

流入河川

  • 涸沼川
  • 若宮川
  • 渋川
  • 桜川
  • 才川
  • 大谷川
    • かつては、寛政川も流入河川だった。

流出河川

歴史

縄文時代、海水面が上昇し[4]涸沼周辺では入り江であった。その後、入り江の入り口が川の土砂、那珂川の自然堤防によってふさがれ涸沼ができた。

江戸時代では、東北や那珂川流域から物資を運ぶルートとして利用され、「内川廻り」といわれるルートの一部であった。さらに水戸藩松波勘十郎に涸沼西部の海老沢から巴川流域の紅葉まで約10kmを結ぶ「紅葉運河」や涸沼川から大貫までの約1kmを結ぶ「大貫運河」を掘らせたが失敗に終わった。

明治時代に入ってからも、大久保利通が大谷川から北浦の流入河川である鉾田川をむすぶ国家計画に着手したが、暗殺により頓挫した。いまでも鉾田市内に切り通しの跡を見ることができる。

1927年(昭和2年)より、涸沼干拓が始まり、前谷(茨城町下石崎)、広浦(大洗町神山町)、船渡(茨城町上石崎)、馬割(茨城町海老沢)、東永寺(茨城町上石崎)、宮ヶ崎と干拓され、水田として利用された。

2015年(平成27年)5月28日、国際的に重要な湿地の保全を目指すラムサール条約に登録された[3]

水質

過去10年間の化学的酸素要求量 (COD) の値の動き(測定場所は親沢、宮前、広浦の平均値、値は涸沼の水質データ による)

測定年 CODの値
1997 9.7
1998 6.6
1999 8.9
2000 9.5
2001 6.8
2002 7.8
2003 6.8
2004 5.5
2005 6.9
2006 6.4

脚注

  1. ^ a b 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積” (PDF). 2015年3月22日閲覧。
  2. ^ a b 地元の人は下涸沼川とよぶ。
  3. ^ a b c “Hinuma | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2015年8月12日). 2023年4月15日閲覧。
  4. ^ このことを縄文海進という。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、涸沼に関連するカテゴリがあります。

外部リンク

  • 涸沼辞典(茨城町)
  • 霞ヶ浦環境科学センター
  • クリーンアップひぬまネットワーク
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